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2015.01.16 (Fri)

トリックテイキングが根付かなかった理由

私は普段ほとんどトリックテイクを遊ばない。
避けているという訳でもなく、単に機会に恵まれなかっただけだ。
そんな折、最新のトリックテイクとして『とりっく&でざーと』を遊ぶ機会があった。
ゲームも中盤に差し掛かる頃、私はゲームを降りたくなった。そしてそのまま大敗した。

初プレイの途中でゲームを降りたくなったのはアグリコラ以来2度目だ。
もっとも、アグリコラの方は
「こちらが明日の食料も分からぬ貧しい生活を送る一方、他の面々は暖かな家庭を築いている。
 同じ条件で始まったはずなのにどこでこんなに差がついたのか……慢心、環境の違い」
という上原浩治気分を味わったためで、とりっく&でざーととは趣が異なる。
(※アグリコラはその後の指導の賜物で、現在では普通にプレイできるようになっている)

とりっく&でざーとで起きた心理的な動きは、
「なにを出せば有効な手か分からない。しかし何か出さなければならない。
 そして行動の是非は暫く後にならないと分からず、さらに点数の付き方は相対的で、
 自分が貧乏くじを引いた分、他の人の利に繋がりやすいというデスマッチ仕様。
 ああ、カードを出すのが恐ろしい。たすけてママー」
という感じだった。

初プレイでいきなり同盟締結と証人追放という、
拡張ルールまで全部入れたのも良くなかったのかもしれない。
しかしそう考えると、とりっく&でざーとは従来のトリックテイクの上に石を積んだデザインなのだろう。
トリックテイクの土台ができている人間でなければその真価が分からない。
なので、トリックテイクの土台を考えてみることにした。

トリックテイクはどう楽しむのか、軽く調べた範囲ではこれといった情報が得られなかった。
熱心なトリックテイクファンがいるはずなのにこれは不思議である。
そんな中、「日本ではトリックテイクが根付いていない」と以前言われた事を思い出した。
正攻法では収穫が得られなさそうなので、逆サイドから攻めこんでみることにする。
つまり、欠点を知ることで裏面にある魅力を炙り出すのだ。長所と短所は源流を同じくする。

調べたところ、参考になる情報を見つけることが出来た。

出したいカードは出せないし、出したいカードを出しても結果が読めないという二点によって、プレイの指針が立たず、勝っても負けても自分の意思決定の結果だという実感が持てず、面白さがわからないという結論になるのではないかと思います。
トリックテイク未経験者に対して何を勧めるべきか~指針と行動~(一年中未来)より抜粋


ところで、トランプと言えば七並べ・婆抜き・神経衰弱しか知らない人に、トリックテイキングを教えると、一番理解しにくいのが、このマストフォローである。時にはよくないルールだと、抵抗をしめす。まず何のためにそう決めるのか、ルールの意味が分からないらしい。尤もこれは、ルールであるという以上の説明はできない。いちいち前述のようなことを述べていてはゲームが始まらない。
(中略)現在は確立したゲームがある。だから「これがルールである」で終わってしまう。しかしゲームの移入期には、もっと困難があったろう。ルールを自制するのは不正の元、間違わないルール、不正しにくいルールがよいルールという論理も説得力がある。 こうして日本には、なかなかトリックテイキングが根付かないのである。
トリックテイキングの宇宙(草場純さんの研究を収集するサイト)より抜粋


上記の見解でほぼ答えなのだが、ここに自分なりの見解も付け加えさせて頂く。
①パスができない
 よくわからないので様子見をする、という選択がシステム上で許されていない。
 渋々取った行動にも容赦なく採点が下り、「Badだ」と告げられるのは著しいストレスを生む。

②システムに欠陥がある
 マストフォローの説明を初めて聞いた人は、次に大体こう返す。
 「そのスートを持っていたのに悪意を持って、あるいはうっかり出さなかった場合はどうなる?」
 そう、マストフォローが正しく運用されているかは当人にしか分からない。
 (後で検証をすることは出来るが、後にならないと分からないとも言える)
 結局どう受け止めるかと言えば、「何だかよく分からないルールだな」となる。
 ゲームの根幹を成すルールの印象が不明瞭であれば、ゲーム自体の印象も当然不明瞭になる。

③駆け引きがカウンティング前提になっている
 トリックテイクは実を言うと実力が大きく反映されるゲームだ。
 ここで言う"実力"が何かと言えばカードカウンティングと精神的揺さぶりである。
 マストフォローという制約がある事で、誰が何のカードを持っている・持っていないという情報が
 少しずつ絞れていき、それを元に戦術を組み立てるのがトリックテイクの醍醐味だ。
 その場のノリでカードを出しているだけでは熟練者には絶対に勝てない。
 もう一つの「揺さぶり」の方は何なのかと言えば、
 あえて最適ではない行動を取ることで誤情報を与え、相手の計算を狂わせる駆け引きである。
 ここまで来ると非常に趣深い遊びになるが、この駆け引きは互いにカウンティングが
 出来ている前提においてのみ成り立つ。初心者に入り込む余地はない。

容赦がないことも、欠陥があることも、実力が問われることも、それ自体には何一つ文句はない。
問題は、そういったゲームであることの事前説明がなされているか、という点である。

人は自分の予測を裏切られると、ストレスが溜まる
【コラム】長考問題を解決する3つの方法(ボドゲ神拳)より抜粋


特に説明がなければ、人は基本的に自分の都合の良いように解釈するし、
ましてやゲームのパッケージがゆるい感じであればガチゲーと予測するのは困難を極める。
そして遊んでみてこう言う「思ってたのとちがう!!」

日本でトリックテイクが根付かなかった理由というのは、つまるところ
トリックテイクの楽しみ方に関する解説が少ない点に尽きるのではないだろうか?

まとめ:
・トリックテイクはルールを聞いてすぐには楽しみ方が分からない部分がある
・事前認識によって受ける印象は大きく変わる
・トリックテイクの楽しみ方が分かりやすくなるよう改良を重ねていくことが定着への架け橋となる
・ちなみに、とりっく&でざーとは従来のトリックテイクにあった課題の対策がなされている
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Comment

「そのスートを持っていたのに悪意を持って、あるいはうっかり出さなかった場合はどうなる?」
この問いに対するゲーマーの本音は「なんでそんなことを考慮する必要があるの?」でしょうね。うっかりミスは何にでもあります。ルールが明確なゲームですら、間違って資源を余分にとってしまっていた(そしてそれに誰も気づかなかった)ということは起こりえます。しかし、悪意を持ってルールに違反する場合、その人の目的はゲームを楽しむことではなく、(手段を選ばず)他人に勝つことです(あるいはズルをすることそのもの)。であれば、その人はゲームを手段にする必然性はなく、また、他の人間もわざわざズルをする人間とゲームをする必要はないはずです。
だから、私は「ズルする人がいたらどうするの?」と言われたら、「ズルする人とどうしても遊ばなければならない事情でもあるの?」と聞きます。大体の人は不思議そうにしながら一応納得しますが、たまに食い下がる人もいて、そういう人には改めてゴキブリポーカーでも薦めますね。
電子の海から名無し様 |  2015年05月24日(日) 03:06 |  URL |  【コメント編集】

これは私も不思議です。割と他のゲームでは「ズルしようと思えば出来ますがお互い紳士協定で守りましょうね」で通じるところが、なぜかトリテだけは「守らなかったらどうなる」の話になりがち。
恐らく他者の裏切りを警戒してるというよりは、自分の不注意でゲームを壊してしまうことへの心配だと考えられます。ルールが分かってもプレイが分からない辺りでそういう心配になるのではないでしょうか。
ゆお@こっち屋 |  2015年05月25日(月) 01:58 |  URL |  【コメント編集】

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