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2018.07.27 (Fri)

『ウェルカム・トゥ (Welcome To...)』レビュー

販売:Blue Coccor Games
作者:Benoit Turpin
1~100人向け、30分

重厚大型:☆☆☆☆★:遊び易い
幸運頼み:☆☆★☆☆:戦略判断
独立気楽:☆★☆☆☆:絡み合い
安価素朴:☆☆★☆☆:高級豪華

総評:
ガンシュンクレバー、メトロックス、アルペンツィオンと最近波が来てる紙ペンゲーム。
シートに直接書き込んでいく感覚が一周回って新鮮で、紙に書く習慣が減ってきた現代の世相を
反映しているようにも感じられる。
ゲーム内容は非常にシンプルで、1~15までの数字と特殊効果の組合せで毎回3択提示されるので
その中から1つ選んでシートに書き込んでいく。真ん中付近の数字(8辺り)ほど出やすい配分。
特殊効果も基本的には「使うほど最終得点が増える」ものが多く、覚えやすい。

このゲームの最大の魅力はなんといっても対応人数の幅。1~100人!
3択をみんな同時に選ぶので手番の概念がない。だから人数が増えてもプレイ時間に影響は少ない。
また、得点もシートに書き込めばいいため、人数分の点数チップも必要ない。製作者大助かり。
(遊ぶ側で人数分のペンを用意する必要はあるが)
卓待ち人数が不安定なオープンゲーム会などで、とりあえず持っていけば重宝するだろう。

このゲームには個人妨害が特になく、一応目標カードの早取りやマジョリティ点要素もあるが
おまけ程度に軽く抑えられており、インタラクションは限りなく薄い。
そうしないと100人同時に遊べないからだが、そのソロゲー感を気にする人もいる。
ただ個人的には今の流行はインタラクションを最低限に留める方向に傾いてるように思う。

ここがスゴイ:
・対応人数幅の頼もしさ
・毎回3択から選ぶ単純なゲーム性ながら、数の偏りによる先読みがあり悩ましい
・マスを埋めればその点数になるというのは目に優しく、計画も立てやすい

ここがアカン:
・ソロゲー感を気にする人は気にする
・不正をしようと思えば簡単に出来てしまう(そんな面子と遊ぶなって話だが)
11:07  |  ゲームレビュー  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2018.05.27 (Sun)

『MIRARIS』レビュー

販売:DOMINA GAMES
作者:?
3~6人向け、10~20分
MIRARIS 公式紹介

重厚大型:☆☆☆★☆:遊び易い
幸運頼み:☆★☆☆☆:戦略判断
独立気楽:☆☆☆☆★:絡み合い
安価素朴:☆☆☆☆★:高級豪華

総評:
イエサブの売上ランキングでは常に上位をキープ、しかし周囲で「遊んだ」という話を
全然聞かないことで有名なDOMINA GAMES(風栄社)産のゲーム。
1つくらいは持っておこうと興味を持ち、購入時に最新作だった本作をピック。

買ってみてわかったこととして、本当にコンポーネントの質が良い。
アートワークが綺麗なのは見ればわかることだが、カードは厚め、箱はスベスベと、
物の品質に徹底したこだわりが感じられる。
確かにこれだけ質が良ければ、コレクションとして手元に置いておきたいコレクターは多いだろう。
(そして大事に保存される=表で遊ばれない、というのが謎の真相か…)

ゲーム内容は基本『ハゲタカのえじき』。そこにキャラクターカードの役職効果が足されてる。
特にこれといって目新しさはないが、逆に人気作を大きくいじってもいないため外してもいない。
ゲーム内容は手堅くまとめて、物の魅力で勝負する姿勢がありありと出ている。
ビジネス戦略として賢明な判断だと思う。実際それで上手くいってる訳でね。

ここがスゴイ:
・イラストレーターasahiro氏で統一された美しくも儚いビジュアル
・箱やカードはしっかりとした品質で、価格に対して高い満足度を得られる

ここがアカン:
・各プレイヤー別々のキャラ能力を持つが、正直プレイングからどのキャラか全く予想がつかない。
 仮に予想できたとして、バッティングゲームなので狙って妨害するのは困難(相打ちに旨味もない)。
 結果的に、ハゲタカと全く同じプレイ感覚で進み、最後にキャラ能力でどんでん返しが起きる
 という感じで、考えることにほぼ意味がない。パーティゲームと割り切るならアリ。
10:18  |  ゲームレビュー  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2018.01.09 (Tue)

『語彙大富豪』レビュー

販売:無料公開(紙ペンゲームです)
作者:U
3~6人向け、約10分
語彙大富豪 公式紹介

重厚大型:☆☆☆☆★:遊び易い
幸運頼み:☆☆★☆☆:戦略判断
独立気楽:☆☆☆☆★:絡み合い
安価素朴:★☆☆☆☆:高級豪華

総評:
「前の言葉(概念)に勝てる言葉(概念)を出していく」という突拍子もないゲーム。
一応手札を出し切れば勝ちだが、勝ち負けを抜きにして
毎回意味不明なバトルが巻き起こるため笑ってしまう。(5000兆円vsストロングゼロ、など)
ゲームの楽しさの核としては、そういったカオスさと、そこへ各自の見解を述べる議論部分だろう。
そういう意味では非常にコンパクトにまとめられた議論生成装置、ないし
ストーリーテリング装置と言える。バトルの行方を考えるだけの単純明快さが良い。

毎回紙とペンを用意する手間はあるものの、それ故に自由度は無限大で、
常に流行の最新概念を取り込んで遊ぶことが出来るためいくらでも遊べる。
また、元々の大富豪にあった革命ルールを上手く活かしており、
例えばこういった自由発表ゲームでネタ被りは本来しらけてしまうシーンだが、
このゲームでは革命が起きるため逆に盛り上がる。
あえて他の人が書きそうな内容を紙に書いて、革命を狙いに行くというのも手だ。
(自由度高すぎるから狙って被せるのも不可能に近いけど)

ここがスゴイ:
・極小の議論白熱装置
・ネタ被りを逆にイベント化する天才的発想

ここがアカン:
・かなり身内向けの遊び。初対面同士だと互いの知識ゾーンが分からず盛り上がりにくい
・最初のスタートプレイヤーが明らか有利(無条件で手札1枚減らせるので)
10:42  |  ゲームレビュー  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.12.08 (Fri)

『相場操縦』レビュー

販売:よっぱ
作者:よっぱ
3~6人向け、約25分
相場操縦 公式紹介

重厚大型:☆☆☆☆★:遊び易い
幸運頼み:☆☆★☆☆:戦略判断
独立気楽:☆☆☆★☆:絡み合い
安価素朴:☆☆★☆☆:高級豪華

総評:
自分の担当業種が一番価値が上がるように操作する正体隠匿。アンダーカバー系。
各業種とも1~4が2枚ずつ計8枚あり、毎ラウンド各1枚出て来る(つまり8ラウンドで終わり)。
親番が各業種のタイルを自分だけ見て、1枚捨てて任意の縦列で配置した後、
他のプレイヤーは①縦列の並びを入れ替え(押出方式)、②損益分岐線を移動、のどちらかを行う。
ゲーム進行は非常にシンプル。
このゲームの一番の特徴は損益分岐線(紐)だろう。
単純にその線の下にあるタイルは0点扱いになるというシンプルなものだが、
棒状にしてしまうと箱に入り切らないし、横から矢印だけで示すのも直感的ではない。
紐であれば小さく折りたたんで箱に入る!これはコンポーネントの知恵である。

プレイ人数に応じた数だけ業種を使う、つまり必ず誰かがいずれかの業種であり、
アンダーカバーと違ってNPCに該当する担当色はない。
ここに関して「NPCカラーも混ぜた方がいいのでは?」という声もあったが、
正体が読みにくくなってしまうので、ライトゲーマー向けとしては現状でいいように思う。
(3人プレイの時だけあまりに分かりすぎるので、足した方がいいかもしれない)
→追記:ヴァリアントルールで、NPC追加ルールがあるようです。

ここがスゴイ:
・損益分岐線の上げ下げによりダイナミックに状況が変わるのが良い
・タイルがずれて並んでいく様子は見た目に面白い

ここがアカン:
・簡単な内容のはずなのに説明書が絶妙に分かりにくい(表記順序がおかしい)。
・箱がほとんどただの黒い箱なのでシンプルが過ぎる。一応タイトル箔押しではあるが…
10:54  |  ゲームレビュー  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.08.14 (Mon)

『ナショナルエコノミー・メセナ』レビュー

販売:スパ帝国
作者:スパ帝
1~4人向け、約30分
ナショナルエコノミー・メセナ 公式紹介

重厚大型:☆☆☆★☆:遊び易い
幸運頼み:☆☆★☆☆:戦略判断
独立気楽:☆☆☆★☆:絡み合い
安価素朴:☆☆☆★☆:高級豪華

総評:
前作「ナショナルエコノミー」からの続編。
続編といっても基幹システムが共通なだけで、独立拡張として単体で遊べる。
(前作のカードと混ぜて遊ぼうと思えば遊べるが、推奨はされていない)

いわゆるワーカープレイスメントゲームで、自分のワーカーを全員共有の中央の職場へ
早い者勝ちで派遣していき、お金や資源を稼いで、さらに手持ちのワーカーや施設を増やして…
といった拡大再生産を楽しむ。経営者として短時間でPDCAサイクルをぐるぐる回せるのだ。

ナショナルエコノミーシリーズの特徴としては、世界に出回るお金に最初上限があることだろう。
(一般的なワーカープレイスでは獲得リソースに上限はない)
作中で『家計』と呼ばれてるためそのまま使うが、例えば家計に10$しかない状態で、
「12$得る」というアクションは実行できない。「8$得る」なら実行できる。
どうにかして家計を増やさないことには、そもそも世の中に出回るお金が増えないのだ。
家計を増やす方法は唯一、「自分の施設を売却した」時だけである。
この時は家計からお金を得るのではなく、外世界からお金を得る(※上限はない)。
さながら、国内に出回る資金を、外貨獲得によって拡張するような話である。
このことからナショナルエコノミーは「ミニマム経済を抽象化したゲーム」と言われる。

ではメセナになってさらに何が変わったかと言うと、勝利点トークンと外部参照要素が増えた。
外部参照要素とは「~する。◯◯があればさらに~する」といった強化条件である。
これにより何を残し何を捨てるかという取捨選択がより迫られるようになり、
かつ「今何が引きたいか」も定まるためドローに力が入りやすくなった。
勝利点トークンは持っているとゲーム終了時に加点されるというよくある要素だが、
「基本1枚1点、3枚ある場合まとめて10点扱い」、という増え方がピーキーで、
これも何とかして綺麗に3枚セットを作りたくなってしまう。
「こうしよう(こうしたい)」の心理誘導がうまいゲームだという印象がある。

レビューとは別で、数回プレイしてみたゲーム感に関するコメント:
とにかく建物の価値が高いゲームなので、毎ラウンドどうにかして「何かを建てる」が重要。
そのためには共有場の大工とは別に、自分専用の建設アクションをキープしておきたい。
(いくら資材が潤沢にあっても、他プレイヤーに大工を先に取られては何も建てられない)
特に優秀なのが「宮大工」で、低コストで建てやすく、アクションで勝利点トークンも付いてくるため、
これを回してるだけでかなりの強ムーブ。勝利点トークン参照の大聖堂に繋げられれば勝ったも同然や!


ここがスゴイ:
・カードだけで遊べるコンパクトなワーカープレイス。効果も1~2行レベルで遊びやすい。
・どういった方針で自分の資産を拡大するか、濃密な計画&実行が味わえる。

ここがアカン:
・建物の建設コストには開きがあり、やはり序盤に引きたいカード・後半に引きたいカード、
 つまり引き運に左右される面がどうしてもある。
・お金の出し入れがかなり頻繁で、「今家計にいくらある?」とかの確認が都度入ったりで面倒。
 ここの処理に関しては明らかにデジタルの方が向いてる
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