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2014.12.30 (Tue)

ゲムマ大阪新作「モリヤミクス」のご紹介

完売御礼 頒布終了しました!

まさに(現人)神ゲー。
モリヤミクスパッケージ

タイトル :モリヤミクス (BGG:Moriyamics
原作   :上海アリス幻樂団「東方Project」
ジャンル :ゴーアウト(大富豪系)
要点   :2~5人向け(推奨4,5人)、10~20分、8歳以上向け
内容物  :ゲームカード50枚、サマリーカード6枚(※1枚は予備)、説明書1枚
(ゲームカードの内訳は、2~4が8枚ずつ、5~8が4枚ずつ、9~12が2枚ずつ、ヘビとカエルが1枚ずつ)
 第二版以降の説明書は英語ルール付き!
頒布時期 :2015/01/11名古屋ボードゲームフリーマーケット以降
頒布価格 :イベント価格700円
イラスト :ゆお

※モリヤミクスは東方Projectの二次創作ボードゲーム(カードゲーム)です。
《自己レビュー》
重厚大型:☆☆☆☆★:遊び易い
幸運頼み:☆☆★☆☆:戦略判断
独立気楽:☆☆★☆☆:絡み合い
安価素朴:☆★☆☆☆:高級豪華

TGIW新作評価アンケートで11位の評価を頂きました!
・うっかり卓ゲ祭りで紹介動画を作って頂けました!多謝!


ご予約に関して
予約方法はトップページをご確認ください。(ゲームマーケットのみ対応致します)
イベント以外での購入方法に関して
ショップ委託の詳細はこちらをご確認ください。

《ゲーム概要》
ゲームの目的は自分の手札を出し切ること。やったぜ、超わかりやすい。
手札を出すのもすっごく簡単。前の数字より大きい数字なら出せます。
しかも、同じカードならまとめて合計値で出せるから展開が超スピーディ!
ところが!なまじ大きく出ると他の人に成果を乗っ取られて逆転されちゃうかもしれません!
手札の使い方を上手く計画して、目指せモリヤのニューリーダー!

《カードサンプル》
カードサイズは横52mm×縦86mmの名刺サイズ(角丸あり)となっています。
(推奨スリーブ:ワークアップ カードスリーブ55×88
モリヤミクス2モリヤミクス12モリヤミクスX
カード角隅の数字がそのカードの強さを表します。
数字の下の枠内に書かれているのはそのカードの総枚数です。

《ストーリー》
幻想郷にも押し寄せる不況の波、守矢神社は経営破綻寸前だ!
窮地を脱するべく守矢の風祝、東風谷早苗(こちやさなえ)が立ち上がった!
ひとまず改革っぽいキャッチコピーを掲げてみたが、具体的なプランは何ひとつ思いついてないぞ!
あなた達は守矢神社の狂信者です。無能な早苗さんを影から支えてあげましょう。
日夜、互いの改革プランを出しあい、誰よりも早くノルマ達成した人が信者キングの称号を手に入れます。

《ゲームの流れ》
◆準備
1.ゲームカードをよくまぜ、裏向きで各プレイヤーに8枚ずつ配ります。
 余ったカードは裏向きのまま重ねて、全員の手が届く位置に山札として置いておきます。
2.各自、配られたカードを他のプレイヤーには見えないように持ち、いらないと思うカード2枚
 左隣のプレイヤーに裏向きで同時に渡してください。これで最初の手札が出来上がります。
3.一番最近、神社に行ったプレイヤーから手番が始まります。
◆プレイ手順
①手番プレイヤーは各手番に1度、山札からカードを引く事が出来ます(※引かなくても良い)。
 引く前に1枚か2枚を宣言し、その枚数だけ引きます(手札枚数に上限はありません)。
 山札が足りない場合は捨て札を切り直し、新たな山札とします。それも出来ない場合は引けません。
②その後、手番プレイヤーは各手番に1度、手札から任意のカードを中央の場に出せます。
 但し、直前に出された数字より大きな数字でなければ出せません
 (場に何も出ていない時は数字を0と見なします)。
③カードが出せない、または出したくない場合はパスが出来ます。
 但し、パスするとその回が流れる(※後述⑤)まで手番が来なくなります。
 既にパスしている人は他の人に分かるよう、手をテーブルに伏せると良いでしょう。
④カードを出すか、パスすると、左隣のプレイヤーに手番が移ります。
⑤最後にカードを出したプレイヤー以外の全員がパスした場合、
 場のカードを脇に流し、捨て札とします。最後にカードを出したプレイヤーから次の手番を始めます。
◆ゲームの終了
上記①~⑤を繰り返し、一番先に手札を出しきったプレイヤーが1回勝利します。
ゲームを何度か繰り返し、先に2勝したプレイヤーが優勝します。
1勝したら他の人に分かるよう、サマリーカードを横倒しにしましょう。
次のゲームは先ほど勝ったプレイヤーの左隣から手番が始まります。

※カードの出し方に関する詳細ルール
・特殊行動:まとめ出し
 同じカードであればまとめて複数枚出せます。その際に、数字は合算した値になります。
 (例:2のカードを3枚まとめて、6として出す)
・特殊行動:乗っ取り出し
 直前に出ているカードと同じカードであれば、直前のカードに付け足すことで、
 それらのカードを全て自分が出した事にして場に出せます。
 (例:直前に3のカードが3枚で9として出されていたので、
  自分はさらに3のカードを2枚出して、計15として出す)
・ペナルティ:大きな力の代償
 あるカードが、一度に総枚数分出された場合、出したプレイヤーはペナルティとして
 山札からカードを1枚引きます。
 手札を出し切ってもペナルティが発生していれば勝利にはなりません。引いてください。
 (例:直前に5のカードが3枚で15として出されていたので、5のカードを1枚出して20としたが、
  5のカード総枚数の4枚を出したのでペナルティで1枚引く)
・特殊カード:カエルのカード、ヘビのカード
 カエル:1~8の好きな数字のカードとして出せます。
 ヘビ:5~12の好きな数字のカードとして出せます。
 注)どの数字として出しても、これら特殊カード自体の総枚数は変化しません(1枚のまま)。
 よって、出した時点で必ずペナルティを受けます。
 (例:直前に8のカードが3枚で24として出されていたので、
  8のカード1枚とヘビのカードを8として出し、計40として出した。
  8のカードを4枚出したペナルティと、ヘビのカードのペナルティで計2枚引く)
※補足説明
・途中で総枚数出された場合
 間を挟んで、結果として総枚数出されても、その場合はペナルティの条件を満たしません。
 (例:Aさんが5を1枚出した→Bさんが6を1枚出した→Cさんが5を3枚出した。
  5が総枚数の4枚出てはいるが、ワンプレイで出た訳ではないのでノープロブレム)
・乗っ取り出しと特殊カードのペナルティが同時に発生した場合
 乗っ取り出しの効果は「同じ数のグループを全て自分が出した事にして場に出す」効果なので、
 グループの中にあらかじめヘビかカエルがいた場合、乗っ取るたびにペナルティが発生します。
 (例:Aさんが6を3枚とカエルを6として出した(計24)
  →Bさんが乗っ取りでヘビを6として出した(計30)→Cさんが乗っ取りで6を1枚出した(計36)
  Aさん:カエルのペナルティで1枚引く
  Bさん:カエルとヘビのペナルティで2枚引く
  Cさん:カエルとヘビと6のペナルティで3枚引く)

《アピールポイント》
新春にふさわしく、勢いのあるゲームを作ろうと思い立ち、
ライナー・クニツィア氏のエスカレーションを参考に完成させました。
任意ドローと乗っ取り出しにより、ゴーアウト系のスピード感はそのままに、
「引いて手札を強くするのか、リスクを避けて今の手札で戦うか」
というジレンマが上手く組み込めた、と手応えを感じています。
取り回しやすいゲームをお求めの方、是非おひとついかがでしょうか?

《その他備考》
サマリーカードと実際の説明書
モリヤミクスサマリー モリヤミクス説明書
(サマリーカードで勝利数が3まで書かれているのは、
 合意の上で優勝条件を3本先取、4本先取に変えて頂いても構わないからです)

お借りした画像素材:
・シルエットデザインさん http://kage-design.com/
17:35  |  『モリヤミクス』  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.12.29 (Mon)

一人用ゲームの分析

ゲームマーケット大阪に向けて一人用ゲームを作る予定なので
某T氏よろしく、一人用ゲームに関して考えをまとめておこうと思った。

まずは一人用ゲームの有名ドコロをピックアップし、
その特徴を並べることで共通項を探ってみたい。

ロビンソン漂流記:
・災厄を2枚めくってどちらか選ぶ
・体力(有限リソース)を払ってここぞという時に追加ドロー出来る
・勝利すると有用なカードがデッキに入る
・敗北すると体力を削られるが、不要なカードをデッキから除外出来る
・山札が一周するたびに災厄の難度が上がる(計三周する)


オニリム:
・出して引く、の繰り返し
・同色3枚揃えていくのが目的で、色ごとに枚数構成が違う
・悪夢カードを引くと複数のマイナス効果からひとつ選ぶ
・鍵カードを使うと複数のプラス効果からひとつ選べる


シェフィ:
・出して引く、の繰り返し
・不要なカードを除外するのがポイント
・鉄板コンボが存在する
・山札が一周するたびにノルマが上がる


ゴリティア:
・引いて出す、の繰り返し
・ゴリラの数とランクによって様々なスキルが使える
・ターン終わりにフードサプライあり
・山札の枚数構成に調整余地あり


ソルヴァーズ:
・ダイスの出目を項目に割り当てる
・ミッション毎に達成目標、項目が変わる
・ピッタリ達成でボーナスが出る
・キャラ作成時及びレベルアップ時のステータス割り振り
・施設、装備の購入あり


ドワーフの城塞:
・ダイスの出目を項目に割り当てる
・割り振り項目の種類は不変。達成目標は徐々に上昇
・ラウンド毎にどの項目を強化するか選ぶ
・ピッタリ達成でボーナスが出る


全体に共通する傾向として、以下の流れでゲームが作られている。
①毎ターン何かしらの課題が発生する
②いくつかの選択肢から対応を選ぶ
③フィードバックを得る

ただしこれらは「一人用ゲーム」に別段限った話ではなく、ゲーム全般にも言えることである。
目新しい話ではないかもしれないが話を続ける。
極端な話、固定の課題×固定の選択肢×固定の結果ではゲームにならない。
ゲーム、というか装置であるためには変数が必要だ。
という訳で、次はどこに変数を持たせるかという話になる。
先の例に則して簡単に分類してみよう。
①課題に揺れ幅:ロビンソン、オニリム(の悪夢)
②選択肢に揺れ幅:シェフィ、ゴリティア、ソルヴァーズ、ドワーフ
③結果に揺れ幅:TRPG

なんとなく、選択肢に幅を持たせるのが今風という印象を受ける。
ここで幅の持たせ方、いわゆる乱数発生装置について触れよう。
具体的に名前を挙げれば、カードとダイス、この2つになる。

ところで話が横に逸れるが、カードとダイスに続く第三のツールは必要だろうか?
「あるに越したことはない」が答えになるので質問が適切ではないのだが、
かといって何もない所からいきなりやって来てくれたりはしない。

そもそも人がなぜゲームで遊ぶかと言えば、「知る」ためである。
人間という生き物はつくづくポジティブに作られていて、知ることに快楽を覚えるように出来ている。
ゲームを通じて何を知るかといえば、リスクヘッジの手法であったり、発想の転換方法、
もちろんプレイ相手のことだって分かる。
そのために必要なのはツールではなくシチュエーションである。
もっとも、シチュエーションからツールが生まれるとも言えるのだけど。

さて、元の話に戻る。
カードとダイスを乱数発生装置として比べた場合、カードは完全な乱数発生装置とは言えない。
引けば引くほどカウンティングにより、後のカードの目星がつきやすくなっていく。
無論、それをゲーム性として組み込むことも可能ではあるが、
残りのカードの組合せから考えて勝機がない、という事が早々と分かってしまうケースが出る。
新鮮な状況の発生率という点においてはダイスに分があるのではないか?
(カードを引くたびにシャッフルして引き直せば完全な乱数発生装置になるが…)

しかしこれは製作者にとってはあまり嬉しくない話である。
実を言うとダイスは原価が高い、
正確に言うなら、発行部数を増やしてもカードのようにはコストダウンされない。
有能だが出来れば頼りにしたくない、シャアみたいな奴である。
しかしこれは、言い換えれば新しいシチュエーションが発生しているとも考えられる。
新しいツールの土台として検討してみるのも面白いかもしれない。

まとめ:
・選択肢が毎回変化するのが今風
・ダイスは優秀な乱数発生装置である
・しかしダイスは高いので別手段を検討してみたい
15:46  |  ゲーム探求・思想  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2014.12.27 (Sat)

アドベントカレンダー企画感想8

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2014 の第22~25日目の記事、
のスナイパー記事として書きました。>(゚∀゚)<
企画感想その7はこちら
企画感想その6はこちら
企画感想その5はこちら
企画感想その4はこちら
企画感想その3はこちら
企画感想その2はこちら
企画感想その1はこちら

上記アドベントカレンダーに関する他の方のコメントなどは、
ツイッターハッシュタグ「#bgdac」でも見ることが出来ます。ご興味のある方はどうぞ!


22日目:トスのインタラクション
 著者:円卓P氏(数寄ゲームズ)
 代表作:姫騎士逃ゲテ~

序文で界隈を指して「ゴールドラッシュ」という表現が全く同感だったので笑いました。
ただしこの界隈に埋まってるのは金ではなく夢とか浪漫ではありますけど。
とはいえ、現代で夢が見られるのは貴重です。遊園地を回るのと同じですね。

さて本論に入って、ドイツゲームの分析、特に『トス』に関するお話です。
よくドイツゲームの特徴に関しては、
「テキストレスである」
「木製のコンポーネントがよく使われる」
「古代・中世テーマ、あるいはノンテーマが多い」
みたいな切り口で語られることが多いのですが、
いずれも表層的な部分でいまいちピンと来ないことが多いです。

しかし今回のお話は特有のインタラクションに関して掘り下げた話になっており、
なるほどなーと感心させられました。
要するに、「自分の行動が他の人間の得になるようにルールが作られており、
出来るだけ得を薄くするよう考えて行動を決めねばならん」という訳です。

「相対的に損をさせる」のであれば直接攻撃要素があった方が分かりやすいのですが、
あえて遠回しなインタラクションをドイツゲームが好むのは、
背景に国民性、ひいては戦争の歴史があるのかな、と思うのは考えすぎでしょうか?
この辺は日本も似たところがあるのか、直接攻撃を嫌う人は多いですよね。

ドイツゲームに関してこれまでにない斬新な切り口で、大変勉強になりました。
こういった有益な分析が増えればドイツゲームももっと増えると思います!(゚∀゚)


23日目:ドラフト式ボードゲームのドラフトの仕組み(システム)について考えてみる
 著者:坂下氏(Power9Games)
 代表作:ひつじとどろぼう、Dragon's Stone

ドラフトゲームをメインに作られてる方ならではの記事ですね。
世の中にはブラフゲームを専門に手がけてるデザイナーもいらっしゃいますが、
こういった一芸を極める戦略もありなのかもしれません。
この記事には濃厚なノウハウが詰め込まれており、読み手として大助かり。
ここまで手の内見せちゃって良かったんでしょうかw

個人的にはドラフトテクニックの紹介が一番ためになりました。
普段みんなそんな事考えてドラフトしてたのね、と。
その後にはこういったテクニックを活かすための観点で
デザイン論が語られているのですが、ほんと至れり尽くせりですね。

読んでるとドラフトすげぇ!という気分になってくるのですが、
きっちり「大富豪でドラフトをやったら大味になるだけ」と言及してあって、
ドラフトは魔法の調味料ではないですよ、
と釘を差されてるのは精通者ならではだと感じます。


24日目:レイメイ期のウォーゲーム 第三夜
 著者:moon Gamer氏
 代表作:?

正直、「ゲームデザインの話はどこへ行ったんだろう」と思いながら読みました。
ウォーゲームも当然ボードゲームの1ジャンルですので、
ウォーゲームの話をするのは構わないのですが、
歴史の話(というか月刊ホビージャパン誌面の変遷の話)がメインで、
完全にウォーゲームファンのためだけの記事になっています。
一応デザイン論的な部分を拾うと、
「ファンからの意見を取り入れるだけでは迷走するだけ」
という所くらいかなと思います。
記事デザイン自体は見やすく綺麗に書かれていて良かったです。


25日目:コンピュータプログラムによる自動テストプレイ
 著者:fullkawa氏(Open Design Games)
 代表作:Water Walker、Xan

日頃テスト設計をしている人ならではの観点で面白いです。
テストをする上で検証に必要な項目をあらかじめ決めておきましょう、といったテスト設計や
項目に対して合否を判定するための基準の考え方、参考になりますね。
とはいえ、何を持って「オッケ!」とするかは人それぞれ変わってくるのでしょうけど。

というテストの話は導入で、
テストプレイ用のフレームワークを開発中ですよ、という話の方が本命ですかね?
確かにプログラムで自動的にテストが出来るならこれほど楽なことはありません。

ただ、自動的にテストして、テスト結果(評価値)が返ってくるという事は、
今度はゲーム要素の変更に対する総当り評価がやりたくなりますよね。
そうすれば考え得る組合せにおいて最良の結果が分かります。

じゃあ、次はゲーム要素の組合せパターンを自動生成するプログラムを――
……なんだか、未来においては「プログラムがゲームを作る」という
マトリックスさながらの世界が待っていそうな気がしてきました。
とはいえ、試み自体はとても面白いので、
プロジェクトが今後どこへ向かっていくのかは楽しみですね!
18:22  |  ゲーム探求・思想  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.12.27 (Sat)

アドベントカレンダー企画感想7

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2014 の第19~21日目の記事、
のチェイサー記事として書きました。(゚Д゚)
企画感想その6はこちら
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上記アドベントカレンダーに関する他の方のコメントなどは、
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19日目:ボードゲームを作ってみよう(実践編)
 著者:彼葉氏(一年中未来)
 代表作:大怪獣コトバモドス

キレのある文体で書かれており、物書きとしてもやっていけそうに見えます。
100%成功する雨乞いの話」のくだりはかなり上手いですね。これ好き。

駆け出しデザイナーの背中を押す記事としてはちょっとこれ以上は想像つきません。
デザイナーが普段やってる事を軽快に、それでいて鮮明に描いており、
あっさりと読めるので「お、それじゃ俺もいっちょやってみようかな」と
思わせる勢いがあります。
(作った事がある人はここで苦笑いすると思いますがw)

最近思うのは、ボードゲームってのは大衆娯楽なんだな、と。(何を今更)
例えば、最新の科学技術を駆使して新しい装置を開発するというのは、
研究こそ大変ですが、実現しようとしている発想の方は分かりやすいというか一般的なんですよね。
大衆娯楽はまさにこの逆かもしれません。
使う道具はあくまで既成品、でも発想や表現は新しく。
どちらが難しいか、というのは不毛なのでやりませんが、
ブラックボックスが用意できない分、大衆娯楽はコピーに対して無防備です。
保護されていないので当然ビジネスとしては不利、
というか正攻法では難しい、というのが行き着く所かなと思います。

話が随分逸れたので元に戻すと、
色々作ってみて、この「既成品から新しい表現・発想を見つける」事が掴めてくると、
ボードゲームのデザインにさらに奥深い物を感じられるようになる気がします。


20日目:ゲーマー予備軍を考慮したゲームデザイン
 著者:Shun氏(Studio GG)
 代表作:『開拓王 The King of Frontier』

記事に書かれてるように、潜在的には思考型のゲームが好きな初心者、
というのはやはり一定数存在するのだと思います。
パーティゲームは何だかただの運試しに感じて楽しめない。
かといって、熟練者と同卓して重量級ゲームを遊んでも何だか分からない内にボコボコにされる。
どっちつかずな宙ぶらりんで居場所がない。ツライ。

とはいえ、それで興味を失う人が、
救済措置の有無だけで思い留まるかと言われると、私は甚だ疑問に感じます。
ゲーム会という場を例に出すのであれば、
ゲームが面白かったからゲーム会に通う訳ではありません。
ゲーム会が面白かったからゲーム会に通うのです。

もちろん「ルールは分かり易く、それでいて深い考え所もある」ゲームは理想的です。
デザイナーたるもの、可能な限り分かり易くする努力はすべきです。
広く受け入れられた方が売上にも繋がりますからね(ゲスい)。

ただ、「ゲーム会で予備軍を定着させるために」という動機は余計かなと言及します。
私は以前、協力ゲームを作ったことがあるのですが、奉行問題の対策をしようと考えて作りました。
出した今となっては、その対策は全く必要がなかったと思っています。
ゲームの外で巻き起こる人間関係にまで考えを巡らすというのは、
少なくともゲームの中の事が全部出来てからやる事だった
と反省しています。

ゲームが既に高い完成度を誇っており、他に手を付ける部分が見当たらない、
そこまで行ってから手を伸ばさないと宙に足が浮く、という事は覚えておいて損はないでしょう。


21日目:コンポーネントをくまなく使うお話
 著者:れらしう氏(ゾック神社)
 代表作:見滝原は狭すぎて、見滝原を覆う影

コンポーネントを少なくするアイデアに関して、自作の例を交えて解説したお話。
実を言うと私も、以前コンポーネントを減らすアイデアに関して記事を書いたことがあります。
駆け出し奮闘記「コンポーネントの省スペース化あれこれ」

ここに無かった情報ということでピックアップすると、
具体例3:カードの裏面に意味を持たせる

これは直接コンポーネントを減らす手法ではないです(本文にもそう書いてある)。
しかし、コンポーネントを増やさずゲームの要素を増やすことができる、
この発想は無かったので大変興味深く読ませて頂きました。
別の視点から見れば確かにそういう取り方も出来ますね。ひとつ賢くなりましたよ!
11:39  |  ゲーム探求・思想  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.12.19 (Fri)

アドベントカレンダー企画感想6

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2014 の第16~18日目の記事、
のスナッチャー記事として書きました。(´◔ ω◔`)
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16日目:ボードゲームのグラフィックデザインが果たすべき3つ役割とその効果的な利用法について
 著者:あさと氏(TANSANFABRIK)
 代表作:ディヴィ・ジョーンズ・ポーカー、人間ゲーム

ルール文章上に言語としては現れないルールをゴーストルールと仮称して、
つまるところ、そのゴーストとは見た目(グラフィック)上に現れるルールだ、という主旨での、
グラフィックの役割と使い方に関するお話。デザインをやっている会社ならではの記事ですね。

(正確には、言語以外の五感に現れるルールを総称してゴーストルールと呼ばれている模様。
 ただ、グラフィックに関しての話を主体に進めるのであればゴーストルールというよりは、
 グラフィックルール、あるいは視覚ルールと呼んだ方が分かりやすかったかもしれません。
 ゴーストの方が名前にインパクトはありますけどね。)

普段分かっているようで分かっていない所に切り込んだ貴重な記事となっており、
・言語ルールに変化がなくとも、グラフィックが変わると違うゲームになり得る
・視覚効果から逆算してゲームデザインを行う事も可能である
といった興味深いポイントも挙げられています。

このお話はグラフィックが与える視覚ルールに関する話なのですが、実際には、
①ルールとしての役割
②プレイアビリティとしての役割
③ゲーム演出としての役割
の三本立てとなっており、②のプレイアビリティはその2の方で書かれています。
③はおそらくその3で書かれるのでしょう。(現時点では記事が完成していません)

しかしながら、全体的に話がフワッとした所から始まるので左脳で理解しようとすると苦戦します。
右脳で掴むように切り替えないと読解が難しいかもしれません。「考えるな、感じろ」の世界。

グラフィックデザインの事を一度も考えた事がないような超初心者向けに、
丁寧に丁寧に書いた結果ここまで長くなった、という感じがしますが、
もう少し簡潔にまとめた方が、読む方も書く方も楽だったんじゃないかなと感じます。
実際、説明用に画像を細かく用意するのは大変だったと思います。(厳しい事言ってごめんやで)


17日目:パクってゲームを作る方法と実践
 著者:ろい氏(ペンとサイコロ)
 代表作:三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい

他の人のゲームを手本に、新しくゲームを生み出す際の具体例と考え方に関するお話。
積み重ねの上に一つ新しい石を置く」と書かれており、
これはなかなか堂に入った表現だと感心しました。
具体例には『引くデザイン』と『足すデザイン』の両方が示されていて大変参考になります。

「え?新しい石置くんじゃないの?引くの?」と思った方は大変目ざとい。
元となるゲームに自分なりのコンセプトを加えて別の形を生み出す
ことを著者は提唱しており、ここで言うとはコンセプトの事を表していると考えられます。

他の人のゲームを手本に、というと私も思い当たる節がもちろんあって、
東方PACT成敗(カナイ製作所)から着想を得ましたし、
もりやトリックはシャドウハンターズ(ゲームリパブリック)+ベガス(alea社)です。
ギルティブロッサムゴッズギャンビット(SWITCH GAMES)とノイ(イカルス)を参考にしています。
(いずれも言われないと気づかないレベルだとは思いますが)

んで、作ってみると分かるのですが、
完全にオリジナルのゲームを作ろうとすると、すぐにネタが枯渇します。
情けないと思われるかもしれませんが、1冊の本が1つのネタだけで完結しないように、
ゲームもまた、ネタの起承転結が必要になってきます。
面白いアイデアを一つ思いついたくらいでは、完成までまだ程遠いのです。
なので持ちネタの数はすごく重要です。著者もこう書いています。

”変な袋小路に入ったネタは、いじるより捨てた方が早いです。だからいつでも捨てられるように、元のネタの数は重要になります。ネタが少ないと、悪いアイデアにいつまでもこだわってしまいます。”


ところで皆さんは「パクリ」に関してどう思うでしょうか?
世間一般的にはやはりパクリって悪いイメージだと思うんです。
中国、韓国のパクリ・起源主張には辟易させられてますし、
音楽・ゲーム・漫画・ラノベ業界でも「○○は××のパクリ!」みたいな話は事欠きません。
(そうやって非難する割には日夜ツイッターではコラ画像が大量に出回ってるのですが。おっと脱線…)

良い意味で使われている場面を見かけない以上、
不用意に「私パクって作ってます!」とは言わない方が良い気がします。(お、タイトル批判か!?)
そもそも「パクリ」という言葉自体、定義が曖昧ですからね。
どこからがパクリで、どこまでは参考なのか、境界線がハッキリしない
ハッキリしない言葉は読み手に都合良く解釈されて危険です。

よく、元ネタに愛があるかどうかとか、敬意があるかどうかで線引が語られる事がありますが、
それも正直言えば何だか分からない部分ではあります。
それよりはまだ、作者に悪影響を与えるかどうか、要するにシェアの奪い取りが起きるか、
で考える方が分かりやすい気がしますね。人様に迷惑かけたらパクリ、かけてないなら参考。

さて話は変わりますが、
本文を見て、他の人の宣伝を先に振ってから自分の宣伝に持っていくのは上手いやり方だと思いました。
そこまで露骨に映らないから自然に見えるんですね。
これには、さすが商品企画を生業にしてる人のテクだなと舌を巻きました。
このテクを私も早速パク…参考にしていきたいと思います!ヽ(゚∀。)ノ


18日目:10年後へ向けたデザイン
 著者:雨宮氏(DreamBoardGames)
 代表作:MBUGA、QuattRide Wars

長く遊んでもらうためには、という観点で
システム・テーマ・コンポーネントの3つの観点から書かれていますが、
最終的には「一つの作品に継続して取り組む」のが良いのではないか、と締めくくられています。

商業を見れば、カタンや人生ゲームあたりは超絶ロングセラーです。
ワンタイトルだけで頒布拡大を図るというのは
製作&宣伝労力・採算性・普及といった観点で優れていますよね。

一方、経済効果という観点で見れば、
新作が出るたびポチりまくってくれる方が効果は高かったりします。
どちらが良いかは一概には言えないのですが、
ただ、長く続ける事を考えると(年単位で考えると)、
どこかでワンタイトルに注力するタイミングがないと体力切れを起こしてしまうのかな、と思います。

しかし、ワンタイトルを粘り強く売り続けるというのは、
よほど思い入れか確信がないと難しい事のように思えます。
同人だと実例ってあったかなぁ、と考えて思い浮かぶのはギャングスターパラダイス
2年に渡り、これ一本でイベントに立たれてますよね。すごいことです。
確信があったのかどうか、は作者に聞いてみないと分からないですけど(゚∀゚)

じゃあぽこじゃが新作出すんは思い入れも確信もないんか、と言われれば
そういう時もあればそうでない時もあります。
まぁイベントで新作があった方がウケが良いというのは当然ありますが。
狂ったように新作を出してしまうのは結局「作るのが好き」だからな気がします。

労力やら効率やら経済効果やら、小難しいことを口では言うのですが
いざ蓋を開けてみると「えいやー」でやっちゃってますよね…。
他の製作者もそうなんじゃないかなと思ってますが、私が特別大雑把なだけかもしれません。

なんにせよ、10年後を見据えて作るというのは、それなりに経験を積まないと難しい事かなと思います。
まずは1年、いや半年先を見据える所からでいいんじゃないですかね!(甘え
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