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2016.08.16 (Tue)

『ロード・オブ・スコットランド』レビュー

販売:Z-man(日本はアークライトゲームズ)
作者:Richard James
2~5人向け、約30分
ロード・オブ・スコットランド日本公式紹介

重厚大型:☆☆☆★☆:遊び易い
幸運頼み:☆★☆☆☆:戦略判断
独立気楽:☆☆☆★☆:絡み合い
安価素朴:☆☆★☆☆:高級豪華

総評:
9種類のシンプルな能力、得点も獲得したカードの数字、と
カードだけで2~5人という幅広い人数に対応した取り回しのしやすいゲーム。
とはいえ、やはり特殊能力を一通り説明するのは骨が折れます。
また、説明書の日本語が絶妙に読みづらく、エラッタも多数出てることと相まって
かなり難読となっています。

んで、大揉めした特殊能力の発動条件ですが、要点まとめるとこんな感じ。
<訂正前ルール(誤訳ルール)>
・自分の軍だけ見て、最も低い数字のカードを出した場合使える
・4~5人プレイ時:自分の軍を色別で見て、最も低い数字のカードを出した場合使える
<訂正後ルール(本来のルール)>
・全体の軍を見て、最も低い数字のカードを出した場合使える
・4~5人プレイ時:全体かつ色別で見て、最も低い数字のカードを出した場合使える
訂正前はソロ感が強く、訂正後はインタラクションが濃くなっています。

ドイツゲーム視点から言えば、「あえて弱いカードを出すことで、他のプレイヤーの計画を狂わせる」
ことが出来る、訂正後ルールの方が確かに正しい姿のように思えるのですが、
いきなり1を出されて、「あとは数字の出しあいね」という展開になるのは割とお寒いです。
(能力使ってなんぼのゲームちゃうんかい、と)
また、プレイ人数でルールが変わるのもマイナス。初期枚数や構成が変わる程度なら構いませんが、
根幹に関わる能力発動条件が変わるのは、どう考えても美しいデザインではありません。

なので個人的には、「訂正前ルール+人数変わっても条件変えず」が一番綺麗な気がしてます。
(あるいは完全に3人がベストなゲームと開き直って訂正後ルールで遊ぶか)
ただ、どう考えても「任意の敵軍1枚を捨て札にする(ウィームス族)」がぶっ壊れており、
(敵戦力を減らしつつ、自軍は増えるので相対アドバンテージ差がすごい)
これがあることにより、「先にカードを出すのは狙われるだけ損」な空気になってしまいます。
すると、「自軍にもう1枚追加で出す(マギル族)」を連発で使って、
最後の最後にまくれるラスト手番プレイヤーが有利、という話に行き着いてしまいます。

どのルールを採用してもどこかしら歪さが残ってしまう、というのが私の所感ですね。
「元々が古いゲームだから大味」と考えるべきか…
正直現代の感覚から言えば同人レベルの作品になってしまっていると思います。

ここがスゴイ:
・ほぼカードだけで遊べるシンプルな作り
・能力の組合せを考えつつ、戦略を組み立てる楽しさ
・手札は次ラウンドに引き継ぎなので、攻めるか、この回しゃがむか、も考えどころ

ここがアカン:
・能力の強い弱いがハッキリしており、いうほど戦略に幅はない
・ゲームの根幹を成す能力発動条件ルールが何かとガバガバ
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