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2018.08.19 (Sun)

アズールレーンはなぜ伸び悩んだか?

まずはじめに、私自身は『アズールレーン』の大ファン(指揮官Lv106)であり、できれば好意的な意見だけ述べていたいと考えている。とはいえ、都合の悪い事実から目を逸してばかりもおられない状況になってきたなぁと最近感じる訳で、一度状況を整理したいと思い今書いている。運営批判がしたいのではなく、もっと活躍が見たいという姿勢であることは重々承知の上で読んで欲しい。

では、具体的にアズールレーンのセールス状況を見た上で話を進めよう。こちらはAppDBさんのデータから起こしたiPhoneゲームのセールスランキングである(2017年9月14日~2018年8月19日)。比較用にアズールレーン以外のタイトルもいくつか載せた。後半は順位の乱高下が激しくて見づらいが頑張って解読して欲しい。基本的にアプデ直後だけ順位が上がってその後すぐ下がってしまうようだ…。
セールスランキング
サービス開始直後の昨年10月頃急上昇し、この頃は「艦これブームの再来」「アニメ化まったなし」と持て囃された。しかしその後は全体的に右肩下がりを記録している。特に大きな下げ調子を記録した部分に関して、その頃アズレンで起きていたイベントを書き込んだ。これらの何が良くなかったのか順に振り返って行こうと思う。

1.人気投票イベント(2017年11月9日~12月17日)
4グループに分けた予選を1週ずつと決勝、合わせて5週と長期間に渡って行われた人気投票。それ自体は少年ジャンプでも伝統的に行われているイベントだがやり方がまずかった。なぜか投票結果が常時オープンだったため、各週初動の時点でほぼ決着していた(僅差だったキャラ同士は逆転なども起きたが)。結果、あまり人気のないキャラを推しているプレイヤーは勝ち目のない順位表を延々見せつけられるという地獄のようなイベントと化してしまった。おそらく運営としては、投票状況が見えていた方が「追い抜け追い越せ」で盛り上がると考えていたのだと思われる。この辺りの背景に日本と中国の文化的な差を感じなくもない…。

2.鏡写されし異色イベント(2017年12月26日~2018年1月12日)後の反動
鏡写イベント自体は鉄血艦が一気に追加され、報酬でも虹装備(磁気魚雷)が出るなど豪華なイベントで評判は上々だった。なので、イベント開始直後と終わり際の駆け込みだろう、最後の方も売上の伸びが見て取れる。ただ、その反動からかイベント後はガクッと落ち込んでしまった。また、同時期開催だった鏡面海域戦に関しては評価が二分されており、戦力の整った上級者は実力を試せて楽しかったと答えた一方、不十分だったライト層は全く勝ち目のない相手が出てきてマッチングの不備を嘆いていた(一応指揮官レベルに応じた相手がマッチングされるという話だったが)。廃人仕様という声は割とあったようだ。

3.凛冽なりし冬の王冠イベント(2018年2月26日~3月15日)
この時期の下がり方のヤバさから見るに相当不評だったようだ。おそらく原因は追跡型セイレーンとボックスガチャ。追跡型セイレーンは常時展開型の弾幕を放ってきてかなり強い上にマップでは追尾、さらに通常マップで元々起きる待ち伏せや爆撃イベントも起きるため周回のストレスが半端なかった。明らかに調整不足だった。また、報酬も従来のポイント交換式ではなくボックスガチャ形式に変更された。運が良ければ欲しいものがいきなり当たる利点がある一方、大抵の場合全部引かないと目当てのものが出ず、また目玉商品以外がしょぼかったのも不評に拍車をかけた(例えば同形式で有名なFGOは目玉商品以外も普通に豪華でハズレなし。なんなら全部引いてからボックスリセットが常識とされる)。当時、あまりのセンスのなさに私も運営に「ボックスガチャは二度としないで」と直訴した記録が残っている。

4.鏡写イベント復刻(2018年6月28日~7月15日)後の反動&月夜の開幕曲(7月17日~24日)
年初の鏡写イベントの再録である。不評だった鏡面海域戦は収録されていない。反動原因は前述の内容と同じだろう。また、復刻イベント後すかさずミニイベント「月夜の開幕曲」が挟まれたものの、本当に空気みたいなイベントだったため(特に強い新規艦なし&シナリオもプレイヤー視点側が強制敗北する謎イベ)、売上には特に貢献しなかったものと思われる。

全体的に、イベント設計があまりお上手ではない感覚を覚える。ただ、個々の事象に対してきっちり反省はできてるようで、例えば不評だった鏡面海域やボックスガチャは出してこないし、追跡型セイレーンも最新イベントでは待ち伏せ&爆撃が併発しないように修正されていた。とはいえ、出来ればそろそろイケてる追加要素をビシッと出して欲しいところで、鳴り物入りの潜水艦も空振りだったのは痛恨だった…。


次に、「なぜセールスが安定しないのか」の話に移っていく。これはものすごく単純に言うと課金圧がそもそも低いためである。課金プレイヤーはアプデ直後にサッと新衣装を買って基本終わり(衣装も他ゲーに比べ安め。アズレンは1500~2000円。他所は7000円とかする)。限定建造で目当て艦が出なかった人だけ渋々資源課金する程度で、恒常的にスタミナやガチャに課金することは稀である。ガチャのSSR率は7%と業界トップクラスの易しさで、他ゲーのように諭吉が何人も溶ける事態はまずない。また、スマホRPGによくある同キャラ重ねて限界突破も、入手しやすい代替キャラで済むため、基本的に1体引ければ十分という壮絶な親切設計である。このため、アプリの評価でも「無課金に優しい」として総じて評価は高いのだが、その優しさが売上に結びつかないのは何とも言えない気分だ。

そして気になるのはアクティブプレイヤー数の推移だ。課金率が今も昔もさほど変わらないとすると、セールスの右肩下がりはそのままプレイヤー数の減少を意味する。最初の方こそ「登録ユーザー◯00万突破!」と感謝のダイヤ配布をよく見かけたが最近はめっきり見なくなってしまった…。この登録数の頭打ち&離脱はどの辺りに原因があるのか考えてみたい。

①シナリオ&キャラクター性が薄い
「ソシャゲにシナリオとか求めてねーから!」という声もあるが、ツイッターを見ているとシナリオがしっかりしたゲームはやはり露出機会も多い。現在不動の1位を築きつつあるFGOは毎回シナリオが話題になるゲームで、キャラ同士の掛け合いも充実している。シナリオが優れてることで良い点は単純にプレイ意欲になる以外に、ファンアートが増えやすい点で、SNS大流行の現代においてファンピラミッドファンアートの盛り上がりは大きな集客効果を持つ。綺麗・面白いファンアートを描く絵師の下に、ファンアートも含めてゲームを楽しむ一般客がぶら下がるようなピラミッド構造が作られるのだ(右図)。これはコミュニティ(ソーシャル性)をより強固にする。単にかわいいキャラと豪華な声優を付けただけではファンアートは大して増えず、描き手の想像力を刺激するような設定が求められる。「このキャラがこんなこと言ったら面白いよね」だとか、「このキャラがこんな格好したらどエッチだよね…」といった具合だ。
その点でアズールレーンを振り返るとだいぶまずい。普通にゲームをしているだけだと世界観すら分からない。セイレーンという超常の存在かつ人類の敵(艦これでいう深海棲艦)がいて、その傘下に入ったレッドアクシズ(重桜・鉄血)対、殲滅派のアズールレーン(ロイヤル・ユニオン)という戦争構図なのだが、その説明もろくにない(※Wikiとか読むと分かる)。おまけにメインシナリオ中は主人公である指揮官の姿は一切描写されない(キャラシナリオや期間イベントシナリオでは出てくる)。本来対立してるはずの勢力の艦を多国籍混合で所有している主人公はいったい何者なんだ?という根本的な問いは未だに判明していない。アズールレーンがバリバリライバル視しているドールズフロントライン(旧少女前線)の方が、残念ながらこの辺りの導入はよほど丁寧だった。
また、キャラ個別のインパクトも全般薄めである。ヤンデレ赤城、ロリコンアークロイヤル、完全瀟洒ベルファスト、守銭奴明石など、突出したキャラもいるにはいるが、当初からいるようなフッドさんでも人物像を語れと改めて言われると苦慮する。基本的にみんな要約すると「指揮官ちゅき❤」以外のことを喋ってないからである。無関係な親父ギャグを飛ばしたりキノコを偏執的に語ったりはしてくれない。ここでFGO先生を見るとやはり上手くて、絵描きがシンパシーを感じるキャラを大量に投入している。ゲーマーインフェルノ、オタサーの刑部姫、重度ヲタ黒ひげ、天才絵師北斎ちゃん、おっぱい大好きガウェインなどなど。絵描きに訴求すればその後に繋がることをよく理解しているのだ。(艦これにも秋雲先生いるもんね)

②赤加賀堀りの疲れ
アズールレーンはレベリングも楽で、また戦闘においても敵とのLv差が攻撃命中率に大きく影響するため「レベルを上げて物理で殴ればいい」が通じるかなり簡単なゲームである。よって、初心者が挫折するようなポイントは特にない、…と言いたいとこだが、3-4の赤城・加賀周回で疲れを覚える人は多いようだ。割と序盤の方でSSRが周回ドロップするというのは親切なのだが、逆に言うと赤城と加賀はここでしか入手できず(建造では出ない)、両方手に入れて真価を発揮するスキルなためどうしても揃えたくなり、「加賀は4体来たのに赤城がこない!」という乱数の偏りに泣かされる指揮官も多い。以前までであればロイヤル艦隊の天下だったため、最悪赤加賀を諦めても問題はなかったが、長門実装以降は赤加賀長門が演習で大暴れしており、ほぼ必須になってしまった。親切のつもりが心折設計になってしもとるがな…。プレイヤーに足踏みをさせるのが目的でない限り、建造不可はまだしも、勲章交換のラインナップ辺りに赤城加賀を入れても誰も文句は言わんと思う。

③パズル要素が少ない
一人用のゲームを長く遊ばせるにあたって、パズル要素は欠かせない存在のように思われる。例えば王者パズドラはまさにパズルが謳われているし、FGOも属性相性やコマンドカードの構成考える部分は極小のデッキ構築(パズル)と言える。また、ライバルのドールズフロントラインは編成の配置から、戦闘中の陣取りオセロまでパズルパズルしていた。
アズールレーンも一応「ロイヤル所属艦を強化」「軽巡を強化」など属性を見て考える部分はあるものの、配置は関係ないことが多いので簡単である。中には固有のキャラにしか発動しないスキルもあり組合せの妙があんまりない。そんな中、なんとか考え所さんを増やそうと思ったのか、ハード面では出撃できる艦種が指定されている。ただ、「指定を守るとボーナス」ではなく、そもそも出撃できないので、言われるがまま設定するだけでパズルを解いてる感はない。単に邪魔な足かせとして機能している。
とはいえ、パズル要素がないと絶対にダメかと言えばそんなことはなく、例えば放置少女にパズル要素は一切ない。なので、アズールレーンはアクション(シューティング)性に寄せたゲームなんです!と言われたら「ソウダネ」としか返せない。返せないのだが…、次項に続く。

④スマホの要求スペックが高い
この辺りからようやく放置少女の話に入る。なんでアズレンと全然関係ない放置少女の名前が出てくるかと言えば、重要だと前述したシナリオ性とパズル性をこのゲームも持ってないからである。戦闘画面はこちらを見てもらえば分かるが、特に操作はなく淡々と交戦ログが記録されるだけ、派手な演出もCVも皆無(※一部CV有)という、モバゲー時代のゲームを彷彿とさせる簡素さである。にも関わらず放置ゲームジャンルの中ではトップセールスを記録しているのが放置少女。やることがとにかく簡単である。レベルを上げて拾ったより強い装備に乗り換えていくだけ!悩むところなど全くない。
この遊びやすさに極振りした姿勢はアズールレーンにも感じる部分だ。そう、アズールレーンは遊びやすさには相当力を入れている。レベルを上げれば低レア艦でも十分攻略できるし、受けたダメージをいちいち入渠で回復待ちしなくて良いし、建造の配分レシピを覚える必要もなければ羅針盤にお祈りする必要もない!おまけに寮舎入れときゃ実戦なしでもスクスク育つ!ヌルゲー!
ところが、放置少女にあってアズールレーンに無いものがある。アプリの軽さである。放置少女は前述の通り非常に簡素なゲームなので、低スペスマホでも動く。だがアズールレーンはそうでもない。グラボ負荷が高いのか、半端なスマホでは急に落ちる事も度々である。遊びやすさで広げた間口を、重すぎるシステムが丸々潰してしまっているのだ。アズールレーンが本来得意とするような客層は、恐らく高級なスマホを持っていないのではないか(ちゃんと調べた訳じゃなく憶測)。


まとめ
さて、そろそろまとめに入ろう。正直長く書きすぎて疲れてきた。つまるところ、アズールレーンは「軽快なゲーム性を売りにしてよりライトな層へ寄せるか」、「絵師への訴求力(ファンアート動機)に注力してコミュニティ強化を図るか」の岐路に立っている。恐らくデータ的に軽量化するのは無理だろうと思われるので、後者の道を選ぶしかないのではないか?
しかし、同人誌作家を狙い撃ちする戦略はFGOがすっかり先行しており、日本文化にもそこまで明るくないアズレンでは後追いしても不利が目立つだろう。ここはひとつ、別の同人業界に賭けてみるのはどうだろう。そう、ボードゲーム業界だね。あとはアズレンのキャラとボードゲームに詳しいシナリオライターがいれば解決だ。ああーっと、なんて奇遇!ここにいますけど雇いませんかァン~~?(クソオチ)


2018年8月21日追記:
iPhoneセールス以外にアンドロイドでのセールス(AndroDB)も参照できたため、そちらも並べてみます。
無題
こちらのデータで見るとそんなに悲観するような結果ではないですね。のんびり構えていきましょう。
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